枯木のある風景 枯木のある風景 枯木が立っている。 ぽつねんと、たった一人で、立っている。 凍てついた朝、凛と立っている。 だけど、枯木は枯木、枯木は骸、骸は魂の抜け殻。 刻まれた年輪は地に還るべき。 その時、風が吹いた。とっても気持ちのいい風、不思議な香り。 　　　　白く渇いた幹に生命が宿る、枝が風に揺れる。 また、風が吹いた。とっても気持ちのいい風、不思議な香り。 　　　　褐色の幹から生命が溢れる、枝から緑が滴る。 　　　　蘇る......... ありえない夢、現実と願望の混沌。 枯木は枯木、枯木は骸、骸は魂の抜け殻。 刻まれた年輪は地に還るべき。 でも、地に還ったものは、いつか姿をかえて蘇る。
（初演時プログラムノートより） 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の委嘱により作曲 「吹楽III」にて初演（1997） 指揮 近藤久敦　川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団